天使

 狂っちまった、なにもかもしゃぶりつくされて、むちゃくちゃで、先が見えなくて、恐ろしくて、絶大で、母なる大地はやがて葬られて、僕らは宙に浮いちまってるようなしろもんか? ……まるで、本当に愚劣な笑い声に蝕まれた耳の奥からわき出た蛆虫と同居した臓物とともに、際限なく破局した同棲生活の泥の中に、いざ巻き込まれ、いざ朽ち果て、何重にも包装され、含有された現実の日々を送るようなもので……美しい女の声だけが頭上に響く……天は恐ろしい色をしていた! ああ、神様……おまんこの毛は生えていたか? 想像したまえ! 神聖なものに落とされた吐瀉物の味を……臭いを……光景を……浴槽の中の狂気を……皆自分を支配することができるなどと言っておきながら、君たちは……ろくに知りもしないんだ……震え上がるような恐怖を前にして初めて自覚する……渇望と渇きを……そうした最後の人間性、残忍な時代に残る最後の生らしい味わいというやつが、当の残忍さにより亡き者にされる数秒前に……初めて発現し……幽かに潤い……まもなく死ぬ! ああ、死んじまったな! バイバイ!
(流川青以)